今回は、渋谷JZBratにて大編成の「ものスゴい!銀星楽団」での登場とのこと。
向かう地下鉄のなかで考えていたのは、銀星楽団のベスト5曲を挙げるとしたら何かなあ?ということ。
そんなことを考えてもしょうがないし、5曲になんか収まらないんだけど。
それでも考えたのは、
バンドの代表曲「古本屋のワルツ」、
世界観が際立つ「Bandoneon」、
フルアルバムのなかで一番好きな「Collage」、
他の曲群から一線を画す「Polar Star」、
最近作から「燕〜TSUBAME〜」、
この5曲。やっぱり全部オリジナル。
その中でも、代表曲「古本屋のワルツ」のなかの、
きっと いつかレールは交わって 再びめぐりあう
というフレーズが頭のなかに呼び醒まされた。
そう、今日のライブはいったんのお別れであるけれども、またあらたな出発点でもあるということを感慨深く見つめていたからだ。
初めて、アルバム「古本屋のワルツ」を買って聴いたとき、一週間ほど歌詞とメロディが頭のなかをぐるぐると駆けめぐっていたことを思い出した。
渋谷の雑踏をかい潜ってJZBratに到着、案内されて席に着くと、置かれていたパンフの黒船レディ(水林史)によるごあいさつ文に、まさにその「古本屋のワルツ」の歌詞のことが書かれていた。
その時に、ひとつの歌に対して想うことは創った本人も聴いている聴衆もみんな同じなんだという気がして、そのことは不思議でもなんでもないように思えた。
1stステージはオリジナル曲中心の構成。
お馴染みのものから、今年に入ってからの新曲まで。
なかでも、予てからの念願だったという映像とのコラボレーションは素晴らしかった。
大野一興氏によるアニメーションが付けられた曲は「亡き王女のためのパヴァーヌ」「Bandoneon」の2曲。
これまで、「Bandoneon」という曲を聴いて思い浮かべていたのは、
おそらく南米の港町、そしてそこからそよぐ風になびく窓のカーテン、そしてなぜか俳優フィリップ・ノワレ。
このイメージが間違っていないことにこのアニメを見ていて気づいた。
いや、想像の世界のことに間違いもなにもないんだけど。
そう、黒船レディと銀星楽団の音楽における特筆すべきことのひとつは、歌詞の世界に描かれた情景が鮮やかに脳内に浮かび上がってくることだ。
「Bandoneon」から「古本屋のワルツ」への導入を迎えたところで、アニメーションは終わった。
あたかも、この先の情景は見ているあなたがそれぞれに想い浮かべてください、とでも言うかのように。
2ndステージはホーンセクション(トランペット・トロンボーン・テナーサックス・バリトンサックス)を加えて賑やかに。
カヴァー曲とオリジナル曲を交互に、そしてゲストの8282男爵こと矢舟テツロー氏を迎えての2曲、
「Doop-Doo-De-Doop(A Doodlin’Song)」
「Fun Time!」
矢舟氏は、本当にいつ見ても憎たらしいほどお洒落だ。
そして終盤に差し掛かり、リリー婦人(廣田ゆり)渾身のホーンアレンジが加えられた曲が続く。
「Polar Star」、作曲者もリリー婦人ではないし、歌詞の世界観、というか視点、立脚点が違うのかな、とにかく異色の曲だと思う。
8月に二子玉川ライラで聴いたセニョ〜ル・モリコ(古森貞之)氏のギターソロもよかったけど、
ここでのポールお兄様・菅野浩氏によるバリトンサックスの演奏も曲の新たな側面を引き出しているようだった。
そして「燕〜TSUBAME〜」、この曲のアレンジは圧巻だった。
これは3月で卒業したソルトリバー伯爵(塩川俊彦)が置き土産に残していったもので、ライブで聴き重ねていくうちに少しずつ素晴らしさがわかってきた新しめの曲なのだけど、この日初めてホーン隊が加わった演奏を聴いてまさに大きな旅をするツバメのごとく壮大で、なおかつ繊細な進行をする曲だということがわかった。
思えば、この曲のなかの「それぞれの旅路へ、、」という歌詞もいつかはやってくる未来を予見するものだったのかもしれない。
そして、最後の曲「上海」のあとは、
アンコールに“悲しみにさようなら”ともいわれる「Tristeza」。
立ち上がって踊りたかったなあ。そうすれば良かった。
そして、オリジナル曲の多くの作曲を手掛けてきたリリー婦人の卒業も発表される。
バンドというものも、どこまでいっても主宰者のものである一面は否定できない。
それは人気のある小劇団の多くが、結局は主宰者のカリスマ性に依っているものであることと似ているかもしれない。
これは僕自身の意見。
しかし、そんな集団にしても当然周りの人たちのサポートなしには立ち行くものではないし、
その劇団やバンドそのものを愛し、応援やサポートをし続けている人が多くいることも、当然忘れちゃいけないことだと思う。
私も あの本もきっと
物語のような旅を続けているのさ
きっと いつかレールは交わって
再びめぐりあう
最後は、お二人で「桃の花」を演奏して終演。
レポートっぽく書くつもりはなかったけど、見れなかった人も多くいたとのことで。
結局、冒頭に挙げた5曲のうち、卒業したソルトリバー伯爵がコーラスで参加する「Collage」以外はすべて聴くことができた。
終演後、挨拶してたら、去年の青い部屋で二人を初めて見ました、というお客さんの方がたまたま横にいらっしゃって嬉しかったな。
そういう意味でも、イベントを企画して良かった。それをきっかけとして、出逢ってくれた方がいた、ということだから。
そのきっかけをつくってくれたのも、他ならぬ黒船レディと銀星楽団の演奏だった。
彼らがいなかったら、彼らの演奏を聴くことがなかったら、僕の人生は違ったものになっていただろう。
そういう存在のものは他にもあるけれど、その中でも特別なものであることは間違いない。
黒船レディと銀星楽団に、そしてお二人に逢えてよかった。
また逢える日を楽しみにしています。
※先に挙げたYoutubeの先にも何曲か映像が上がっています。
以下のマイスペースでも聴くことができます。
http://www.myspace.com/kurofunelady
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